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人の寿命は「定期券」か、それとも「回数券」か?

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 晩年の哲学   04 

哲学先生
どんな動物も、一生のうちにできる呼吸の回数は、
ほぼ、一定なのだそうです。
速く呼吸する動物は、その回数を早く使い切り、
ゆっくり呼吸する動物は、ゆっくり使い切る。
寿命は、その回数に制限されて決まるらしいのです。




 人の一生の長さは、何によって決められるのでしょう?
 たとえば、人は、「20xx年Y月Z日まで」と書かれた定期券を持っているようなものなのでしょうか?
 それとも、「残り○○枚」と表示される回数券を持っているようなものなのでしょうか?
 どうも、それは「回数券」らしい――というのが、生物学や分子生物学、細胞遺伝学、栄養学などの立場からの結論のようです。

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人生は50-70枚綴りの回数券である……?

 「回数券説」のもっとも大きな根拠となっているのは、「細胞分裂の回数には限界がある」とする説明です。
 人をはじめとする生物の組織は、細胞によって構成されています。この細胞が分裂=増殖を繰り返すことで、生物はその細胞をリフレッシュし、正常な状態に保つのですが、その分裂は、何度でも無限に繰り返されるわけではありません。
 無限に分裂する細胞もあるのですが、それは「ガン細胞」だけです。
 なぜ、分裂回数に限界があるのかというと、生物の染色体端末についている「テロメア」と呼ばれるパーツが、分裂のたびに短くなっていくからです。
 ご存じのように、細胞が分裂するときには、染色体上のDNAが複製されます。複製の際にコピー・ミスが起こらないようにするために、DNA端末には、言ってみれば「ノリシロ」のような部分がついています。そのノリシロが「テロメア」です。「テロメア」は、DNAが複製されるたびに、その長さが半分近くに短縮されてしまいます。
 分裂を繰り返すたびに、半分そのまた半分と短くなっていき、最後には、「もうこれ以上、短くなれない」という限界点に達します。そうなると、細胞は分裂を停止します。分裂を停止しても、細胞はそのまま生き続けられるのですが、ただ、この細胞は「老化した細胞」です。あとは、この「老化した細胞」を大事に大事に使って生きていくしかないのですが、当然のことながら、それにも限界があります。

 では、この分裂回数はどれくらいか――というと、だいたい「50-70回」ぐらい。
 問題は、この分裂の頻度です。細胞は、その組織にダメージを受けたりすると、そのダメージを修復するために分裂します。また、栄養が過剰であると分裂の速度は速くなりますし、活性酸素などで傷を受けても、分裂の速度は上がります。
 ごく大雑把に言うと、

 激しく体を使ってダメージを受けるほど、
 人は、この回数券を早く使い切ってしまう。


 という法則が成り立つわけです。
 激しいスポーツをやる人が意外と短命であったりするのも、この理屈。過酷な労働に従事する人が短命なのも同じ理屈です。
 つまり、体にあまり負荷をかけすぎず、大事に大事に使ったほうが長生きできる、ということになるわけですね。

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一生の呼吸回数は、どんな動物でも一定

 かつてベストセラーとなった本に『ゾウの時間 ネズミの時間~サイズの生物学』という本がありました。書いたのは、動物生理学を専門とする、本川達雄という人です。
 この本に書かれていたことは、ちょっとショッキングでした。

 動物のあらゆる生命活動に要する時間は、その体重の1/4乗に比例する

 というのです。
 この「時間」には、いろんな時間が含まれます。寿命も、1回の呼吸に要する時間も、心臓が脈打つ時間も、成熟するのに要する時間も、すべて、この1/4乗法則にのっとっている――というのです。
 たとえば、寿命の長さについて言うと、体重16倍の動物は、その1/16しか体重がない動物の2倍、長生きします。
 1回の呼吸に要する時間も、体重が重い動物ほどゆっくりしていて、体重16倍の動物は、体重1/16の動物の2倍の時間をかけて呼吸します。たとえば、ハツカネズミの28万倍の体重を持つゾウの呼吸時間は、ハツカネズミの23倍。ハツカネズミが23回呼吸する間に、ゾウは1回呼吸するだけ――ということになるわけです。
 面白いことに、この寿命を1回の呼吸時間で割った数値は、どんな動物もほぼ一定しています。つまり、動物が一生のうちに呼吸する回数は、決まっている、ということになるわけですね。その回数は、約5億回と言われています。
 参考までに――と、計算してみました。
 1回の呼吸に5秒使うとすると、5億回呼吸するのに、いったい何年かかるのか?
 答えは、79.27年。ほぼ、人間の平均寿命に近い数字になります。
 ヒトの実際の呼吸はもう少し速くて、ほぼ所要時間4秒弱。これで計算すると、64年ぐらいになります。自然な寿命は、そのあたりということになるのでしょうか。

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ゆっくり生きたほうが長生きできる……?

 細胞の分裂寿命ということから言っても、体重から導き出される1/4乗法則から言っても、人間の体は、ゆっくり大事に使ったほうが、長生きできる。
 私は、そう断言してもいいのではないか――と思っています。
 おそらくこれは、体だけではない、精神的にも同じなのではないかと思うのです。何かにあせったり、イライラしたり、怒ったり、激しく悲しんだり――という精神状態にあると、呼吸は荒くなり、脈拍数は上がり、細胞が受けるダメージも多くなり、結果、人に与えられた「命の回数券」を早く使い切ってしまうことになるのではないか――と思うわけです。

 残念ながら、この回数券は、追加購入はできません。
 さっさと使い切ってしまおうぜ――という人生観も、それはそれでありかとは思いますが、私は、少しずつ、ゆっくり使わせていただこうと思っています。
 ええ、残り少ないもので――。

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Re: No title

私の生き方さま

コメント、ありがとうございました。
「アンチ・エイジング」流行りの風潮に反発を感じる――ということについては、
私も、まったく同感です。

おっしゃるとおり、「65歳」は、ひとつの転機になると思います。
まず、就職がむずかしくなります。
高齢者の採用を進めている企業でも、
採用は「65歳まで」となっているところが大半です。
体力も、「65」を境に、「おや?」と感じることが多くなります。
「高齢者入門」、大歓迎ですよ~!

哲雄

No title

なるほど。定期券より回数券・・・合点がいきます。

私はアンチ・アンチエイジング主義で、年寄りが若ぶってどうするんだと、かねてから思ってました。

そう思っているうちに、世間の「老後」が勝手にどんどん先延ばしになり、困惑していたところです。

一応、世間の定義に従って65歳になったら、高齢者入門としようかな、と思ってます。

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