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「駅の音」から「質量」が消えた、平成「自動音声」の時代

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 昭和は遠くになっちゃった…?   01 

読書する爺ちゃん
私たちが青春を過ごした「昭和」という時代と
平成の「いま」を比べて、いちばん違うと感じるのは、
生活の音です。特に変わったのが「駅の音」。
「自動音声」が主流となったいまの音には、
「質量」が感じられないのです。




 「団塊の世代」と呼ばれているみなさんは、その思春期から青年期にかけての多感な時代を、昭和とともに駆け抜けたはずです。
 すべての事柄が目まぐるしく変わっていった「昭和」という時代。支配人・長住も、毎年のように変わっていく時代の変化に目を白黒させながら、おとなへの階段を上りました。
 そんな変化の中には、「残念だ」と感じる変化もありました。
 「エッ、無くなっちゃうの?」と寂しく思った変化もありました。
 もっとも「変わったなぁ~」「残念だなぁ」と思うのは、「」です。
 「音」と言っても、音楽の「音」ではありません。街で耳にする生活の「音」。これが、「今」と「昔」では、まったく違うんですね。
 ひと言で言うと、昔の音は「アナログ」、いまの音は「デジタル」。それもあるのですが、もっと「違うなぁ~」と感じるのは、その「質量」です。

 昔の音には「質量」があった。

 私は、つくづくそう思います。
 それをもっとも感じるのが、「駅の音」です。

ふくろう
入線してくる機関車の地響きのような音が好きでした

C61 昭和30年代半ばまで、全国の主要幹線の急行列車や特急列車を牽引していたのは、「C61」や「C62」と呼ばれる蒸気機関車でした(写真左)。
 その機関車がホームに入ってくるときの「ドドドドド……」という地響きのような音は、いまも私の耳に残っています。
 地響きのような「ドドドドド……」という動輪の音は、機関車が速度を落とすにつれて、「ドドッ、ドドッ、ドドッ……」に変わり、それが、「ゴトゴトッ、ゴトゴトッ……」というボギー車の音に変わり、やがて「ゴットン、ゴットン……」に変わって、列車は停止します。
 その頃、福岡の実家に住んでいた私は、どこへ行くにも博多駅を利用していたのですが、その頃の駅の構内アナウンスというのは、どこの駅でも、ベテランの駅員が担当していたようです。で、ホームに列車が入線してくるときのアナウンスが、各駅各様でとても面白かったのを記憶しています。しかも、それぞれにアナウンスのワザを持っていました。
 博多駅の場合は、「ハ・カ・タ」と3音節なので、アナウンスにも工夫のしがいがあったのかもしれません。
 機関車が地響きを立てて入線してくると、その「ドドドドド……」に合わせて、駅アナウンスは、「ハカタ、ハカタ、ハカタ、ハカタ――ッ!」と、駅名を早口で連呼し、列車が速度を落とすのに合わせて、「ハカタ――ぁ、ハ・カ・タ――ぁ、ハ・カ・タ、ハ・カ・タに到着です」と、アナウンスもスピードダウン。まるでアニメの画面の動きに合わせてセリフのスピードを調節する声優のようなワザです。
 こういうワザを、当時の構内アナウンス担当者は持っていたんですね。

ふくろう
車内アナウンスは、車掌の「人間性」を伝えていた

 車内アナウンスも、同じでした。昭和の車内アナウンスでは、アナウンスする車掌の人柄・体調・本日の気分・思想・信条までを、うかがい知ることができました。私の記憶に残っている名(迷)アナウンスに、こんなのがありました。

みなさま、本日は、車内がたいへん蒸し暑くなっております。窓の近くのお客様、まことにお手数ではございますが、窓を開けて、さわやかな五月の風を車内に取り込んでください。お仕事のお疲れも、いくぶんかは癒されるかと思います。みなさまのご協力をお願い申し上げます。

 放送が終わると、あちらでもこちらでも、窓を開ける音。たちまち車内には、涼しくさわやかな風が吹き込んで、肌に張り付いたジトッとした熱気が一気に吹き飛んでくれました。
 いま風に言うと「DJ車掌」とでもいうところでしょうか。
 一方、こちらは「迷」のほう――。

みなさま、お急ぎのところ、まことに申し訳ありませんが、電車はただいま徐行運転をいたしております。車掌はスピードを上げるようにお願いしているのですが、運転士が一向に言うことを聞いてくれません。みなさまには、たいへんご迷惑をおかけしますが、いましばらくご辛抱ください。

 「JR」がまだ「国鉄」と名乗っていた時代の話。このアナウンスは、その当時の国鉄の労組、国労動労が、「順法闘争」を繰り広げていた頃に耳にしたものでした。「順法闘争」とは、規則などを過剰なまでに厳格に運用することによって、ストを行ったのと同様の効果を得ようとする労組の闘争戦術。アナウンスをしている車掌は、おそらく、「鉄労」(経営側が国労・動労に対抗して作った御用組合)だな――なんぞと想像しながら、私は、ニヤニヤとそのアナウンスを聞いておりました。
 そういう人間関係までもがうかがい知れるのも、マニュアルな昭和のアナウンスのいいところではありました。

ふくろう
「音」のない街は、危ない!

 平成の「音」からは、すっかり、そういった「質量」が消えてしまいました。
 列車や電車は音もなくホームに滑り込み、街を走るクルマも、クラクションを鳴らされないとわからないほど静かに走ってきます。

 オイ、危ないだろ!

 支配人・長住も、何度かヒヤッとした思いがあります。
 いろんなアナウンスも、ほとんどが「自動音声」に取って代わられました。
 電車の車内アナウンスも、

間もなく 《○○○》 に到着です。
 《○○○》 側のドアが開きます。《○○○線》 はお乗り換えです。

 こういう自動音声は、文節単位のユニットになっていて、 《○○○》 の部分には選択した音声が入力できるように作られています。そのせいか、《○○○》 の前後には、不自然と思われる間が空きます。
 私は、その間が気持ちわるくて仕方ないのですが、それだけではなく、全体に強弱もなく、緩急もない、フラットで質量のない音。「自動音声」は、そういう音と言っていいかと思います。
 ハッキリ言って、長住は、そういう音があまり好きではありません。

ふくろう
子どもの声を「騒音」としか感じない現代人の感性

 私は、ひとつだけ危惧していることがあります。
 人の耳がこういう音に慣れ、無音で走る電車やクルマに慣れてしまうと、はたして人の聴覚は、それでも健全な感性を保ち続けることができるだろうか?――という危惧です。
 たびたび、ニュースでも取り上げられていますが、どこかに「保育園」を建設しようという計画が持ち上がると、必ずと言っていいほど、近くの住民たちから「反対!」の声が上がります。理由のひとつに挙げられるのが「騒音」です。
 子どもたちの元気な声を「騒音」としか感じない住民たちの聴覚的感性って、いったい、どうなってるんだろう――と、私は、空恐ろしくさえ感じてしまいます。
 もし、それが、街が「音」の「質量」を失っていったことの結果――だとしたら、怖いことだと思うのですが……。

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テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Re: No title

私の生き方さま

いつもコメント、ありがとうございます。
私は、たぶん、中島氏とはお友だちになれそうにありませんね。
基本的に私は、「街の猥雑さ」を愛する人間なんですよね。
人間の活動している音が好きなんです。
でも、「自動音声」はイヤだ。
ついでに言うと、エンドレステープで流される「人の声」も嫌いです。
昔の「納豆売り」や「瓜売りが瓜売り歩く声」は、愛すべき騒音ですが、
「竿竹売り」や「不用品回収業者」のテープ音声は、嫌悪すべき騒音――です。
私も偏屈なのかもしれませんね。

哲雄

No title

数年前、中島義道だったでしょうか、偏屈な哲学者の「うるさい日本の私」という本で、スーパーの売り出しや、駅のホームのアナウンスが、不要な騒音としてやり玉に挙げられてました。

それもそうよね~と思って読んでいましたが、今になってみると、確かに自動音声は、それはそれとして情感がないものですね。月一くらいで東京に出張で出向きますが、昼間のホームは、ああ、東京も高齢化なんだなぁと年々感じいぇいます。

それにしても「児童」音声まで騒音と感じるとは・・・さすがの中島も、そこまでは言及してませんでした(笑)

特養と保育園はすごく相性がいいようで、地方ではちょっとずつ幼稚園に特養が隣接されています。お年寄りは、子どもたちを、決して「うるさい!」とは言いませんね。
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