ほんとうに「戒名」って必要? そのお値段は?

 



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 相続&葬儀・墓地のぶっちゃけ話   11 

遺影と花
仏教では、亡くなると「戒名」をつける。
そう思っている人が多いと思います。
しかし、これは誤解。宗派によっては、
戒名」そのものが存在しないところもあります。
その違いは、どこにあるのか?
戒名」をめぐるぶっちゃけ事情、
探ってみました。




 仏教徒であれば、死んだら、「戒名」というものが付けられるのだろう。
 たいていの人は、そう思っているかもしれません。そして、おそらくこうも思っているだろうと思います。

  立派な「戒名」を付けるには、金もかかるに違いない。

 確かに、そういう側面がないとは言えません。
 しかし、その前に、大きな誤解を解いておかなければなりません。
 実は、仏教界には、「戒名」そのものが存在しない宗派もあります。しかも、その宗派は、日本で最大の信者数を抱える浄土真宗や日蓮宗なのです。
 参考までに、日本の主な仏教宗派(新興宗教を除く)とその信者数を挙げておきましょう。

日本の主な仏教宗派と信者数(信者数順、新興宗教を除く)
宗派寺院数信者数戒名の有無
浄土真宗本願寺派10,3616,940,363なし
浄土宗6,9296,021,900あり
浄土真宗大谷派8,7845,533,146なし
高野山真言宗3,4795,486,000あり
日蓮宗4,6253,411,736なし
曹洞宗14,7641,578,712あり
真言宗智山派2,8511,537,777あり
真言宗豊山派2,6271,203,762あり
天台宗3,235613,174あり
真言宗醍醐派870562,080あり
文化庁『宗教年鑑』(平成6年版)より

ふくろう
「戒名」をつける宗派信者は、実は、少数

 仏教では、死者は、「仏の弟子」となって浄土への道をたどる――とされています。「仏弟子」となるためには、仏者として守るべき「戒(かい)」を授けられ、それを守る誓いを立てる必要があります。これを「授戒(じゅかい)」と言います。
 通常は、生きているうちに「授戒会(じゅかいえ)」という儀式を受け、「仏弟子」となった証として「戒名」を授けられます。しかし、忙しい現代人には、なかなかそんな機会を作る余裕がありません。時間はあっても、そこまで信心深くない人も多いだろうと思われます。
 たいていの場合は、死んだ後になって、その枕元で読経をしてもらい(これを「枕経=まくらぎょう」と言います)、そこで授戒の儀式も行って「戒名」をつけた上で、浄土に導く「引導」を与えて死出の旅に送り出す――という形をとります。
 天台宗も、真言宗も、さらには禅宗の臨済宗でも曹洞宗でも、浄土に迎えられるかどうかは、本人がこの「戒」を守るかどうかで決まりますから、「自力本願」と言われます。
 「南無阿弥陀仏」と唱えるだけで、阿弥陀如来の慈悲によって浄土へ迎えられる――と説いた法然の「浄土宗」も、念仏を「行(こう)」と考えましたから、そこにはまだ「自力」が介在し、したがって「戒」も「戒名」も存在します。
 しかし、法然の弟子としてその考えを受け継いだ親鸞は、「念仏を唱えよう」という信心を起こしたその時点で阿弥陀如来の慈悲にすくい取られて、往生が定まる――と説きました。完全な「他力本願」で、そこには「戒」そのものが存在しません。「戒」がないので「授戒」の儀式もなく、したがって、「戒名」もつけません。浄土真宗では、「戒名」とは言わず、「法名(ほうみょう)」と言います。
 やや遅れて、布教活動を始めた日蓮宗の開祖・日蓮は、自らを「無戒の僧」と名乗り、いたずらな戒律を否定しました。ただ、法華経のみを信じ、「南無妙法蓮華経」と唱えれば(=信心唱題)、「即身成仏」できると説きました。戒律の意味を認めないので、日蓮宗では「戒名」は使わず、「法号」と言います。
 浄土真宗系と日蓮宗系は、どちらも信者数が多く、合計すると、仏教信者の約58%を占めてしまいます。
 つまり、常識のように思われている「戒名」をつける宗派は、社会全体では少数派というわけです。
 しかしながら、「戒名」と「法名」「法号」を使い分けていると、話がややこしくなるので、ここでは、便宜的に、まとめて「戒名」と呼んでおくことにします。

ふくろう
宗派によって違う、「戒名」のつけ方

 宗派によって、「戒名」の形式は異なりますが、ごく一般的には、下のようなスタイルがおなじみだろうと思います。
 「院号」「道号」「法号」「位号」のそれぞれの意味は、次のとおりです。

戒名 【院号】……仏教や寺院へ多大な貢献(主に経済的な)をしたものに与えられる称号です。

【道号】……仏道に入ったことを表す名前。生前の趣味や性格、業績などを表す文字が入ることが多いようです。浄土真宗では、「道号」は使わず、「釋(しゃく=男性)」「釋尼(しゃくに=女性)」の文字を入れて「釋号」と呼び、浄土宗では「誉」の一字を入れて「誉号」と呼びます。

【法号】……本来の「戒名」は、この部分。俗名から一字をとることが多いようです。浄土真宗ではこの部分を「法名」と呼び、「日蓮宗」では「日〇(男性)」「妙〇」として「日号」と呼びます。

【位号】……仏教徒としての階級を表す称号。本来は、故人の人格や信心の深さ、寺院への貢献度などによって与えられていましたが、近年は、お布施の額によって決められることが多いようです。男子だと、「信士」⇒「居士」⇒「大居士」の順にランクが上がり、女子だと、「信女」⇒「大姉」⇒「清大姉」の順にランクが上がります。

 これらのパーツをどう組み合わせて使うかは、宗派によって違います。
 主なパータンを挙げておきましょう。

〈1〉真言宗、天台宗、臨済宗、曹洞宗の場合
男性
〇〇院(院号)××(道号)△△戒名居士または信士(位号)
女性
〇〇院(院号)××(道号)△△戒名大姉または信女(位号)
「真言宗」の場合は、「院号」の上に梵字を加えて表示します。

〈2〉浄土宗の場合
男性
〇〇院(院号)×誉(誉号)△△(戒名)居士または信士(位号)
女性
〇〇院(院号)×誉(誉号)△△(戒名)大姉または信女(位号)

〈3〉日蓮宗の場合
男性
〇〇院(院号)××(道号)日△(日号)居士または信士(位号)
女性
〇〇院(院号)××(道号)妙△(日号)大姉または信女(位号)

〈4〉浄土真宗の場合
男性
〇〇院(院号)(釋号)△△(法名)
女性
〇〇院(院号)釋尼(釋号)△△(法名)
「浄土真宗」の場合、信者をランク付けする「位号」は使いません。

ふくろう
ぶっちゃけ、「戒名」をつけるのには、いくらかかる?

 さて、ここからは「ぶっちゃけ」な話。
 こういう「戒名」や「法名」「法号」をつける場合、どれくらいのお布施が必要になるか――という話です。
 お寺には「戒名料」という名目の価格表などはありません。お坊さんに尋ねても、「お気持ちでけっこうでございます」としか、答えてくれないだろうと思います。私も、実父の葬儀の際に、お坊さんにお尋ねしたのですが、やはり同じような返事で、ほとほと困ったことがありました。
 こうなったら、自分で調べるしかありません。調べた結果、わかったことは、「戒名」の「お値段」を決めるのに大きく関係するのは、次の2点。

〈1〉「院号」をつけるかどうか?
〈2〉「位号」をどのランクにするか?


 「日本消費者協会」が実施したアンケートによると、その「相場」は、次のようになっておりました。

宗派ごとの「戒名(法名、法号)」の相場 2010年
院号の有無院号あり院号なし
位号のランク信士・信女居士・大姉信士・信女居士・大姉
宗派真言宗30~50万円50~70万円80万円~100万円~
天台宗30~50万円50~70万円100万円~100万円~
曹洞宗30~50万円50~70万円100万円~100万円~
臨済宗30~50万円50~80万円100万円~
浄土宗30~40万円50~60万円70万円~
日蓮宗30万円~50万円~100万円~
浄土真宗釋〇〇
10~30万円
釋〇〇
50万円~
2010年「日本消費者協会」アンケートより

 ただし、以上はあくまで相場の目安。お寺との関係、土地の風習などによって、お布施の額は流動的と考えたほうがいいだろうと思います。
 ちなみに、まったくお寺とのつきあいがないという人が、最近、何かと話題の「お坊さん便」などを利用すれば、戒名は「一律3万円」となっています。

支配人・長住哲雄の近著です!


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Re: No title

めのめの

コメント、ありがとうございます。

> 葬儀は何度やっても金額に困るものです。

やはり、頭を悩まされましたか。
葬儀っていうのは、変な儀式ですよね。
「悲しみ」に打ち沈んでいるその最中に、
お金のこととか、葬儀の段取りのこととか、
ものすごく現実的なことで、
頭を悩ませなくてはならないのですから。

哲雄

No title

葬儀は何度やっても金額に困るものです。
うちは気さくなお寺さんだったので、こんなに要求されませんでした。
金額には、僧侶の人柄やお付き合いの度合いも絡んでくるようですね。
本日までのご来場者数
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編集長 長住哲雄……主に実用書を手がけるエッセイスト&編集者。
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